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1-10 耐震・免震技術 主要出願人の技術的特徴⑥

前回は、1回目のカヤバ工業の技術的特徴を分析しました。
今回は、前回とは、分類の異なるカヤバ工業の技術的特徴を分析してみたいと思います。

今回取り上げる分類は、1-4耐震・免震の技術的特徴の分析における分類(10)にスポットを当ててみたいと思います。
分類(10)は、同じような地盤との間に免震支承手段を設けたものの中で、「ころがり支承によるもの」という分類です。

分類(4)も「ころがりによるもの」という分類で基本的な構成としては、類似の技術が含まれてくると思われます。
それでは、具体的な登録特許を見てみることにします。

カヤバ工業の出願のうち分類(10)に含まれる7件中2件が登録特許になっています。

特許3795655(発明の名称:免震装置)

まず、この発明は、発明の属する技術分野として、「建築物、コンピュータ、美術工芸品などを地震災害から保護する免震装置」となっているので、これまでの住居の基礎上に設置される免震構造よりは、小型の免震装置に関わる発明です。

この発明の従来技術としては、コンピュータの台や美術品などをするためのショーケースなどの下部に4つの突設された支承部を設け、支承部の下端にスチールボールが回転自在に保持されています。
この4つの支承部が転動可能にすり鉢状のベースプレートが設けられており、地震時にスチールボールがプレート内で転がることによって地震の振動を減衰するものです。

さらに、ベースプレートとコンピュータの台や美術品などをするためのショーケースの間には、各四辺に沿ってオイルダンパが4本取り付けられており、中央には、電磁作用を受けて上方に突出したり退避したりする係止突起が設けられています。

中央の係止突起は、地震時以外は、コンピュータの台や美術品などをするためのショーケースの係止部に
固定されているが、大きな地震が発生すると、電流を流すことで固定を解除し、スチールボールの転がりによる振動の減衰作用を生み出ます。
そして、オイルダンパによって、地震後にも惰性で揺れ続けるベースプレートを減衰作用によって吸収し、停止させる役割を持っています。

このような従来技術の課題として、地震時に通電によって係止突起の解除を行うが、停電になった場合に通電が行われず解除ができないという課題が挙げられています。
この課題は、補助電源を設けることで容易に解決できますが、それでは、コストがかかってしまいます。
そのため、補助電源を設けることなく地震時の停電状態でも確実に免震装置を動作させるためにこの発明は考案されています。

この課題を解決するために、構成としては、大きく変化はしませんが、まず中央の係止突起はなくなっています。
そして、オイルダンパ部分に従来にはない機能を付加しています。
その内容を簡単に言うと、減衰バルブに弁体を設け、大きな揺れの場合に油圧によって弁体が開くことでオイルダンパが作動するようになっており、小さな揺れの場合には、油圧が高くなく弁体が開かないのでオイルダンパは固定状態が保持されるようになっています。
このようなオイルダンパの構成によって、大きな揺れの場合にのみ通電することなく、免震作用とオイルダンパによる減衰作用を併用し、コンピュータや美術品などの倒壊を防ぐようになっています。

ちょっと去年の原発事故を思い出しました。
原発の場合は通電は必ず必要になってくるので違ってきますが、色々な角度から物事を見つめることの大切がわかりますね。

もう1件の登録特許を見てみます。

特許3867223(発明の名称:免震装置)

この発明は、ころがり免震自体の構成が少し異なっています。
下部のプレートとプレート上を転がることで免震作用を生み出すボールを有している点は同じですが、ボールとボール支持部の間に隙間を有し、その隙間をボールベアリングによってボールの転がりを助けています。
このボールベアリングは従来の場合には、一つ一つの小さな球への負荷が多き過ぎて破損してしまうことがあったが、ボールベアリングの数を増加させたことによって、一つ一つへの負荷を小さくして、破損や変形を防ぐというものです。
詳細に興味がある方は、上記のリンクから公報を読むことができるのでそちらからお願いします。

ここまでで、カヤバ工業の分類(4)(10)に含まれる登録特許4件の技術的内容を見てみました。
そのことから考えられるカヤバ工業の開発方針としては、住宅に限らず、コンピュータや美術品を保護するショーケースなどの免震装置の開発も行っており、主な構成としては、ボール部を有する転がりを利用した免震の開発が中心となっています。
転がり免震そのものの改良も行っていますが、それだけでなく、転がり免震に付随する「オイルダンパ」や「ボールベアリング」などの改良も行っているように転がり免震を中心として、さらに安全性の高さを追求し、振動減衰という視点からだけでなく、停電時への対応などのように角度の異なる視点からの改良も進めています
去年の大震災によって、新たな課題を捉えどのような改良発明を出願しているか、今後も見てみたいと思います。

前回と今回でカヤバ工業の技術的特徴を分析してきました。
次回は、旭化成ホームズの技術的特徴を分析していきます。

最後までありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。

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カテゴリー: 特許, 特許分析
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