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1-8 耐震・免震技術 主要出願人の技術的特徴④

前回までで、主要出願人の中で、オイレス工業、大和ハウス工業の技術的特徴を分析しました。

今回は、主要出願人中で20番目の出願件数であるフジクラの技術的特徴を見てみます。

フジクラは、通信関連のケーブルや機器、電子部品を主に扱う会社です。
1-3の主要出願人の年次出願件数を参照していただければわかりますが、耐震・免震技術からは撤退していると考えられます。
ですので、現在の製品情報にはすでに耐震・免震に関する製品はありませんが、当時の技術的特徴を見てみることでどのように耐震・免震の技術分野で製品を出そうとしたのかを見てみたいと思います。

フジクラの出願傾向は、1-4の耐震・免震技術の技術分析のグラフから分類(4)へ出願が集中しています。
分類(4)は、大和ハウス工業やカヤバ工業の出願も多くある分類で、免震技術における「ころがりによるもの」という分類です。
この分類が付加されるポピュラーな構成は、皿状の受け部と球状の物体によって構成され、球状の物体が転がることによって建物への振動を減衰する技術です。

この構成の技術についての改良発明が1995年の阪神淡路大震災以降に多く出願されています。

さて、フジクラの特許を見ていこうと思いますが、この分類に対して、主要出願人としてピックアップした30社の中では最も多い19件の特許を出願していますが、分類(4)が付与されているフジクラの出願は一件も登録になっていません。
つまり、フジクラの権利となった特許出願はなかったということです。

さらに、その内訳は大きく分けると3つのポイントに分かれています。

(1)転がり免震における部品削減によるコストセービング
(2)紐状の弾性体と転がり免震を併用し振動を減衰させる
(3)組立て可能な構成にすることで取り扱い、設置工事を容易にする

これらの中から(2)の紐状の弾性体を転がり免震に併用する技術を見てみます。

特開平09-242381

この発明の課題は、ゴムなどの弾性体と鋼板などの積層体のみで強度を高めようとして積層体を太くすると免震周期が短くなり、免震特性が低下してうこと、従来のバネ、ダンパ、転がり免震の三種類の免震装置を組み合わせた免震構造体では、構成が複雑巣すぎること、及び、耐風機能を備えた免震構造体の必要性が挙げられています。

それらの課題を解決するために、この発明では、単純な構成で安価で免震と耐風機能に優れた免震装置を出願しています。

構成は非常に単純で、転がり免震装置の周りを紐状の弾性体によって囲んだ状態です。
地震時には以下のような動きをします。

変位限定手段(チェーンなどにゴムなどの被覆材を被覆したもの)によって転がり免震が皿状の受け皿から外れることを予防しています。

もう1件紐状弾性体と転がり免震の併用をした出願がありますが、特に進歩性があるものではありませんでした。

フジクラは免震装置、特に転がり免震装置の改良発明によって耐震・免震技術分野に進出を考えましたが、転がり免震の分野では、有効な発明を世に出すことがなく撤退してしまったようです。
このように、出願件数の量だけを見るとシェアがあったように思われますが、実際の技術内容を紐解いてみると有効な特許を生み出すことなく撤退していった状況がわかります。
今回の分析から、数値による特許情報のみからでは、正確な判断は難しいということがわかるかと思います。

ちょっと拍子抜けな感じもしますが、今回はここまでにします。

最後までありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。

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カテゴリー: 特許, 特許分析
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