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1ー6 耐震・免震技術 主要出願人の技術的特徴②

前回はオイレス工業の技術的特徴について書きました。
今回は、大和ハウス工業の技術的特徴について見ていきたいと思います。
大和ハウス工業の出願傾向は、技術分類(1ー4参照)の(3)E04H9/02 331Z及び(4)E04B1/36 Lへの出願が多く見られました。
(3)の分類は、地盤との間に免震支承手段を設けたものの中で、「その他のもの(例浮体用防振水槽、免震柱)」という分類です。
この分類は、免震支承の中でもその他のものと扱われるちょっと変わった免震技術に付与される分類ですので、出願人独特の技術が含まれる可能性があります。
(4)の分類は、移動を許容する支承または類似の支持体の中で、「ころがりによるもの」という分類です。
字のごとく、球状の物体が皿状の受け部を転がるようにして揺れを減衰するような技術(球状と皿状に限定はされませんが。)に付与されます。
大和ハウス工業は、役所広司や黒木メイサが出演していたCMでお馴染みですね。
戸建住宅やマンションの開発、建設、販売、賃貸及びリフォームなどを主な事業としている会社です。
このことから、この分析に含まれる技術としては、戸建住宅や中規模マンションなどの免震技術やリフォームに付随する関連技術が含まれてくると予想されます。
それでは、大和ハウス工業の出願技術は、具体的にどのような技術があるでしょうか?
まずは、分類(3)に含まれる特許から。
この中には5件の登録特許が含まれています。
以上の3件は、免震建物の風揺れ防止機構に関する特許です。
一つの前のブログで、簡単に免震装置の弱点として触れました。
免震技術は、地震の揺れに対して振動を抑制する点では、有効ですが、対策を講じないと風による水平方向の揺れに弱いという弱点があります。
そのために、強風による揺れを抑えるためのなんらかの機構が必要になりました。
このような背景に基づいて開発された技術として上記3件の登録特許があると思われます。
この3件のうち①特許4101622の具体的な技術について見てみます。
風揺れ阻止機構3を備えた免震建物では、図1(ロ-2)及び図2(イ)に示すように、強風Wの時には、摩擦固定作動体6…が筒体4の内周部を把持した風揺れ阻止状態にあって上部構造部2の風揺れが阻止され、図1(ロ-1)及び図2(ロ)に示すように、地震が起こると摩擦固定作動体6…が筒体4の内周部から離間した免震可能状態にあって地震が上部構造部2に伝われのが免れる。(【0015】)
図1
図2
この発明では、上部の建築物と基礎の間に免震手段を持つ建物の上部建築物側か基礎側のどちらかに風揺れ防止機構を設置します
筒体の中を移動可能なロッド、ロッドの先端にブレーキパッドの働きをする固定手段があり、ブレーキパッドの位置を筒体に接するか、接しないかの制御をすることでロッドの移動、固定を制御しています。
ロッドが固定されている状態では、風揺れ防止状態で、ロッドの移動が許容されている状態は、地震の揺れを抑制する免震状態となります。
地震センサーや風速センサーをつけ、ブレーキパッドの状態を制御します。
発明の効果として、低コスト、コンパクトに風揺れ阻止状態と免震可能状態との高い切換え応答性を実現すると記載されています。
つまり、この技術は、戸建住宅の免震装置を設置し、低コストで場所を取らずに風揺れにも対応するというものであると思われます。
この発明は、3次元免震装置(水平方向と上下方向の揺れを抑制する免震技術)の上下方向の動きに対応可能なジョイント部品の構造の簡素化を低コスで行う改良発明に関する特許です。
この発明は、戸建住宅内に駐車スペースがある免震建物に関する特許です。
具体的には、車などの重量の大きいものを家屋内ガレージに入れた状態では、上部建築物の重心位置が変化してしまい、その状態で地震が来た場合に、思い通りの免震効果が現れないという課題に対処する発明です。
単純に上部建築物の重量を大きくすればいいのですが、それではコストがかかり過ぎてしまいます。
また、ガレージを上部建築物の重心位置の近くにすることも考えられますが、設計の自由が奪われてしまいます。
さて、どのようにこの課題を解決するかというと、住宅内に細工を施します。
まず、ガレージには、車を停める場所の下に液体などが入る袋を中に入れた載置台を設置します。
ガレージの位置とは、上部建築物の重心位置を挟んだ反対側に液体など収容できる容器を設置します。
この載置台と容器をホースなどでつないでおきます。
車がない状態の時は、載置台の中の袋に液体が入った状態にし、車がガレージに入ると車の重量によって袋内の液体がホースを伝って容器に移動します。
この液体の重量によって像部建築物の重心の変化を抑えようという発明です。
図2
図4
ちょっとしたアイデアですが、「重量の往きの移動も、戻りの移動も、電気等のコストのかかるエネルギーを使用する必要がなく、ランニングコストを低く抑える」ということまでついてきます。
なかなかおもしろいと思います。
大和ハウス工業の分類(3)に関する登録特許は、以上の5件です。
ここからわかることは、免震手段を持つ戸建住宅についての技術的課題(風の影響や重心)を解決し、それらをコストをかけ過ぎず、設置スペースの問題を加味して開発を行っており、免震手段付きの戸建住宅販売促進を志向していると言えるかと思います。
今回はここまでにします。
次回は、大和ハウス工業の分類(4)の具体的技術内容を分析してみたいと思います。
最後までありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。
カテゴリー:特許, 特許分析
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